ステンレス素材は、錆びにくく、強度が高いことで知られています。そのため、私たちの身の回りではもちろん、精密機械の部品としても重宝される素材です。
ステンレスは基本的に錆びにくい素材ですが、環境下によっては錆びることも。万が一傷が付いてしまうと、その傷の部分のみ錆びてしまい、品質が落ちてしまいます。
このことから、加工くずで加工面を傷つけないように細心の注意を払って加工しなければなりません。
基本的に加工くずの排出性に優れているのは、加工液に水を用いたワイヤーカットです。安定した加工を行えることに加え、加工速度においても油よりも速いので、納期の短縮を狙う場合に適しているでしょう。
一方、加工液に油を用いた場合は、放電ギャップが水よりも小さく安定しているので加工精度・仕上げ精度が高くなります。
高強度であり、付加価値の高いステンレスは、特徴的な性能をもたらす反面、複雑な形状を要求する場合、精度や加工費に注意が必要です。
ステンレスのような難削材の加工を依頼する際は、技術力はもちろん、設備力や事例・実績をチェックしてQCDのしっかりした会社を選ぶようにしましょう。
細穴放電加工とワイヤーカットを採用した事例です。SUS303材にあらかじめ開けておいた下穴からワイヤーカットを実施。アルファベットの形状になるようにφ0.15を細穴放電加工で仕上げています。穴径公差±0.005mmの高精度加工です。
ステンレス材SUS303を使用しているコネクター製作治具の部品です。
フライス加工とワイヤーカットを行い、複雑な形状を実現。難しい肉薄の加工においては、ザグリ穴を利用し、プレートに固定して加工したそうです。
難易度の高い加工でも、アイデア次第で精度の高い製品に仕上げられます。
SUS304を使用して半導体製造装置の部品ノズルを製作。旋盤加工、細穴放電加工が用いられました。先端外径3πで、0.2mmの穴を開けています。公差は0.005mmです。
放電現象による微小径の穴あけ加工を可能にする細穴放電加工を採用しているからこそ、このような高精度加工が行えるのでしょう。
ワイヤーカットによる溝加工を行った事例です。ステンレス板の厚さは1.5mm。溝の深さは5.3mmで、溝幅は0.4mmとなっています。
高硬度の素材として知られるステンレスですが、ワイヤーカットを用いたことで、硬度に関係なく、精度の高い加工が可能に。難削材の加工は、実績のある会社に依頼すると信頼性の高い提案を行ってくれるでしょう。
ステンレスは合金の比率や熱処理によって種類が異なります。大きく分けると、マルテンサイト系・フェライト系・オーステナイト系の3種類です。
マルテンサイト系は、高硬度のステンレス鋼。ほかの種類のステンレス鋼よりも耐酸化性にも優れ、耐熱性もあるため、刃物・ノズル・タービンブレードなどの硬度・強度が要求される部品に使われます。
またフェライト系は、比較的安価で溶接性も悪くないので、炉部品(800℃まで)や化学設備で活躍する素材です。
オーステナイト系は上記2つのステンレス鋼と比べて、耐食性・加工性・溶接性が優れているため、バネや強靱鋼など、幅広い用途に使用されます。
※選定条件
2021年10月4日時点で「放電加工会社」とGoogleで検索し上位表示された放電加工会社57社を調査。下記条件全てに当てはまる会社をピックアップしました。
・品質=技術力として「加工精度3μm以下」
・価格=「安価・低価格の明記」
・納期=「短納期対応の可否」